201411

テーマ  対日戦勝70周年で対日、中韓露包囲網目指す
習近平の狙い
講 師 元毎日新聞社 常務 
    慶應大学マスメディア・コミュニケーション
研究所講師
河内孝氏        
    開催日 平成26年11月7日(金)  
    会場  札幌かに本家 栄中央店
来年の8月15日は第二次世界大戦が終わって70年になります。
今、世界で起きていることは、過去の2つの戦争の結果というものを見ていくと、だいたい説明がつきます。
1914年は、第一次世界大戦が始まった年です。
この戦争では英仏露が連合軍を、一方でドイツはオットマントルコ帝国と組んだのです。
戦争を有利に進めるために英国はアラブ部族とユダヤ人を相手に「三枚舌外交」をやっています。
三枚舌外交とは、サイクス・ピコ協定、バルフォア宣言、フセイン・マクマホン協定のことです。
サイクス・ピコ協定とはオットマントルコ帝国を破った後、その版図をどのように英仏露が切り盛りするかという
密約です。
オットマントルコ帝国は、今でいう、シリアからイラクを含めてペルシャの隣、アラビア半島まで持っていました。
トルコは、現在の小アジアに押し込める。
アラブは、シリア、ヨルダン、イラクという地域に分けて、シリアは仏、ヨルダンとイラクは英国。
ロシアにも黒海出口の領土を分割しました。
戦争をやるためには、ユダヤ人からお金を借りないといけないため、バルフォア宣言の中で、パレスチナについては、
イスラエル国をパレスチナの地に作ることを認めるという密約をユダヤにしてしたのです。
ところが一方で、アラブの部族には、お前たちの国をパレスチナに作ってあげるよと約束した。
つまり同じ場所に、イスラエルとアラブの建国を認めたわけですから、ケンカになるのは当たり前。
これが中東問題の根っこです。
そして今、イスラム国の人は何を言っているかというと、勝手にイギリスとフランスが領土を振り分けた。
その秩序を俺たちはぶっ壊したいんだといっているわけです。
トルコがNATOに入っているにもかかわらず、イスラム国の戦いに参加できない理由もここにあります。
英仏が山分けしたことの矛盾からでた戦争、しかも結果としてトルコと対立してきたクルド人を助けるので、イスラ
ム国をやっつける方に参加したくないのです。
今、中東の国というのは、湾岸から始まって、15くらいの国なのですが、おそらく、このイスラム国みたいな動きが
引き金になって、54くらいの地域グループで、大紛争
が始まるだろうといわれています。
世界の秩序変化は欧州でも始まっています。
ロシアとウクライナとの戦い。
これはどこから始まったかというと、1980年からです。
1980年にソ連が崩壊したとき、当時アメリカはブッシ
ュ政権。
ゴルバチョフ政権とブッシュ政権で6回くらい、非常に
厳しい秘密交渉が行われました。
交渉の中で、ソ連軍は東ドイツから引き上げるよと。
でも引き上げたところには、NATOに入れないでくれと。
そういうゴルバチョフの要請があって、それをアメリカ
は、のんだのです。
ところが、東ドイツにはNATO軍を入れないという約束は
1ヶ月くらいで破っている。
次に、かつてのソ連の衛星国であったチェコ、ポーランド、
ハンガリー。
これは絶対にNATOに入れるなよと、そこにNATO軍を入れ
てソ連と対峙するようなことは避けてくれと。
これもアメリカはわかったと約束しているのです。
英国、フランス、ドイツなどの首脳も約束しました。
ところが、3カ国どころか、バルト三国も含めて、皆、
NATOに入ってしまった。
2度までも約束違反があったわけです。
ウクライナは、かつてのソ連の重要な一部の国であって、核兵器もおいてある。
そんなところがNATOに行ってしまうというのは、ロシアにとっては大問題。
そういう背景があって、先日、プーチンがああいう行動をとったわけです。
ロシアから見れば、西側の一方的な秩序の破壊ということなのです。
1945年からの第2次世界大戦終結70周年にはどういう意味があるのか?
1937年に盧溝橋事件が北京で起きました。
北京郊外の盧溝橋で日本軍が夜間演習をしたら、中華民国軍から銃撃にあったのです。
これが太平洋線につながる日中戦争の始まりです。
その記念的な場所である盧溝橋で来年、70周年の大祝賀会を習近平さんの主催でやることになっています。
ちょっと知っている人にとってはヘンな話なのです。
何故なら盧溝橋事件で戦ったのは蒋介石の中華民国政府軍です。
また終戦の1945年8月15日ということでいえば、まだ蒋介石は中国大陸を支配していたわけですから、勝った権利
者というのは台湾政府のはずなのです。
そこで、習近平さんが今年、8月15日に、盧溝橋へ行った理由がわかります。
「我々、中華民族が野蛮な日本軍国主義を打ち破る歴史的な事件だった。忘れてはいけない」といって、盧溝橋事件
で戦った台湾にいる中華民国軍のOBを呼んできたのです。
我々は台湾も中国も一緒なんだということで、来年70周年をやる正当性を得ようとしたわけです。
来年の8月15日、盧溝橋で、プーチンと朴槿恵と習近平が会って、厳しい抗日戦争を共に戦った同士として高らかに
勝利を宣言するわけです。
実は、習近平は、もう少し深い手を打っていたのですが、それは、さすがに朴槿恵は乗りませんでした。
消息筋に聞いた話によると、「北朝鮮なんて誰がみたってあと5年6年も持つわけじゃないじゃない。そうすれば朝鮮
半島は韓国政府が統一することになるだろう。しかも核までも手に入れることができる。そうなれば日本なんて、
目じゃないだろう」と、朝鮮民族にとっては非常に魅力的な提案をしたようです。
それはさすがに、アメリカに情報が流れて、何を言っているんだということになった。
今でも在韓国連軍の指揮権はアメリカの司令官が持っています。
戦時は、アメリカの司令官が韓国軍を自由に使って戦いをすることになっている。
以前は平時も持っていたのですが、さすがにそれは、ということで5年前に平時の指揮権を韓国に返しました。
ただ、韓国としては、独立国として、戦時指揮権を韓国の司令官に返してもらいたい。
そんな話をアメリカにしていて、来年、戦時指揮権も返すことになっていたのですが、棚上げになったのです。
中国の手先になって、ロシアと三国同盟なんてやるんだったら、何かあっても、アメリカは守らないぞと。
アメリカからすれば、北と合併して、その核兵器を持って、核保有国になるなんてとんでもない、ふざけるなといっ
たところです。
習近平とオバマですごいせめぎあいをしているということだけは、日本人は知っておいた方がいいです。
今、世界で起きている混乱は、100年前の世界秩序、70年前に日本が負けた時に彼らが作った世界秩序、冷戦後の
世界秩序が崩れかけている。このことが、ほとんどの理由といえます。

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