2012年10月レポート

■10月例会 講演レポート 
   テーマ 「経営戦略―環境適応から環境創造へ―」
   講師  名城大学 経営学部
       教授 伊藤 賢次 氏 
NAGOYA KEIEI KENKYUKAI  BUSINESS & CULTURE    
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
          開催日 平成24年10月17日(水)  
          会場  ローズコートホテル   
■■企業を取り巻く経営環境の変化■■
経営戦略は、短期的ではなく、
どうしたら企業が5年、10年、30年と成長するのか
という成功の法則を明らかにすることが大事です。
経営戦略の大家、
愛知県出身で東京理科大学の教授の伊丹先生は、
経営戦略とは、
市場の中の組織としての活動と
長期的な基本設計図といっています。
近年における一番の成長産業は
コンビニだと私は思います。
あのちっぽけなコンビニが出たときに、
ここまで大きくなるなんてことは、
誰も思っていませんでした。
ところが、
すでに全国で5万店余りあって、
売上は4年前に百貨店を抜いています。
また、
宅配便や外食産業も非常に大きく成長しています。
一流企業といえども、
ちょっと長い目で見るとすごく大きく変化しています。
例えば、
旭化成の1950年から1995年の45年間の売上比率を見ると、
繊維の比率が、下がっています。
2010年では6.8%となっています。
石油化学、住宅建材の比率が高くなっています。
なぜ、こういうことが起きるのか?
どんな製品でもプロダクト・ライフサイクル
(一般に「PLC」と略称される)があるからです。
仮に旭化成が繊維にこだわっていたら
売上は今の6.8%しかなかったわけです。
ここから言えることは、
企業は長い目で見た場合に、
「新規事業に取り組まないといけない」ということです。
1955年から32年間の日本の企業ランキングで見てみます。
当時1位は東洋紡でした。
トヨタ自動車は、なんと74位です。
売上は東洋紡の10分の1です。
しかし、
32年後の1982年に、1位に踊りでたのはトヨタであり、
東洋紡は87位に落ちています。
売上高でいうとトヨタの約10分の1に下がっています。
それくらい大きな変化が起きているのです。
繊維業界全体で見ると、
この32年間で16.4倍伸びています。
これに比べて、自動車業界は750倍であり、
繊維業界の46倍も伸びているわけです。
「どこの業界に身を置くか」をよく考えないと、
自分は伸びていると思っていても、
経営環境は、がらっと変わってしまうのです。
企業が中長期的に発展するには、
経営環境の影響を強く受けます。
経営戦略は
「経営環境の中で考える」ことが重要である
ということです。
■■経営戦略の本質■■
経営戦略とは何かというと、その中核は2つあります。
「環境適応」と「自己革新」です。
環境適応も、適応ではなく、
逆に環境を創造していくことも可能です。
「環境創造」こそが、もっと優れた経営戦略といえます。
経営学で競争と言った場合、2つの競争があります。
「短期的な競争」と「長期的な競争」。
短期的な競争とは、表面的なの競争です。
しかし、
それを本質的な意味では、
それを作っている深層の競争、
つまり
「組織能力」がより大事なこととなります。
経営というのは、
開発から調達、生産、販売に至るまでの
「トータルなシステム」であり、
日常業務の流れ(「ビジネス・プロセス」)です。
この日常業務の流れこそが大事です。
これは「仕事の仕組み」です。
仕事の仕組みというのは、
いろんな会社を比較しますと、
それぞれ独自なやり方をしています。
こういった仕事の仕組みこそが、
実は、組織能力を決めているのです。
そして
その元にあるのは、「組織文化」だと私は考えています。
例えば、
トヨタ関係では、会議など、必ず「5分前集合」
(「5分前主義」)です。
5分前に出欠をとって、
全員が集まっていたら、その時点から会議が始まり、
5分前には終わります。
これはトヨタでは当たり前です。
でも、
必ずしも、よその会社では、これが当たり前ではない。
その組織のメンバーが“当たり前”と考えている
価値観や世界観及び行動規範から構成されるものが
「組織文化」です。
経営戦略には、3つの特質があります。
「変革性」「一貫性」「重点性」です。
この3つの特質は、長期的な視点であり、
変革を目指すものであり、
短期的な視点であったり、
現状の延長や手直しや修正などは経営戦略とは言いません。
経営戦略を考えるには、
まずビジョンがなければだめです。
ただし、
経営戦略は、(一般に複数の事業をもつ)
会社全体をどう成長させていくかということと、
あるひとつの事業について
市場の中でどう競争していくかという話とは、
分けて考えないといけません。
前者が「成長戦略」であり、
後者が「競争戦略」となります。
今、私が言ったビジョンというのは、
成長性の話です。
競争戦略は、
事業の種類やライフサイクル(PLC)によって
変わってきますので、
5年、10年と同じ戦略が有効であることは
あり得ないことです。
そうすると、
いくつかの事業を持つと、
その1つ1つの事業については競争戦略となりますが、
会社全体としては、
複数の事業をどう上手くやっていくかという
成長戦略が必要になるわけです。
■■戦略意思決定と「ばかな」と「なるほど」■■
最後に、「戦略的意思決定」ということと、
「ばかな」と「なるほど」という
2つの話をしたいと思います。
会社を長い目で見た場合、
乗るか反るかの大博打を打たないといけない時が
あるわけです。
そこで大きく成長するか、
そのまま伸びずに終わってしまうかの分岐点です。
このときに、
将来をどうするかを決めることが、
「戦略的意思決定」と言われるものです。
例えば、
ホンダが四輪にでるとき、
候補としては、アメリカ、東南アジア、
ヨーロッパの3つがありました。
皆が「東南アジアかヨーロッパがいいです」
と言っていた時に、
ホンダのトップはアメリカに行くんだと言った。
アメリカでトップにならなければ、
自社の目標である「世界一のオートメーカー」になれない
と判断したためです。
最近の例では、
武田薬品の海外企業の買収(買収金額1兆円以上)、
ソフトバンクによるアメリカの携帯会社の買収が
挙げられます。
もうひとつは、
「ばかな」と「なるほど」ということです。
ヤマト運輸の宅急便事業のように、
最初は誰が聞いても、
「ばかな、そんなこと止めろよ」
といわれるようなことでも、
5年経ち軌道に乗るようになると、
「なるほど!」と言われるようになる。
そうすると、多数の会社が一斉に参入してくる。
宅配便の場合には、
それまでガラガラだったのが、
35社が一斉に参入してきたのです。
こういう先を見据えたことが実は戦略であり、
経営なのです。
企業にとって一番いいのは「独占」です。
これをわかりやい言葉で言い換えると
「差別化」です。
経営戦略の本質は、
筋が通った上での、即ち合理性のある差別性です。
「合理性」と「差別性」を同時に持つことが
重要です。

2011年11月例会

11月例会
●テーマ  「古地図を手に城下町名古屋を語る」
●講 師  株式会社北見式賃金研究所
      所長 北見 昌朗 氏        
●プロフィール
中学の担任が歴史の先生。
弥生式土器が専門というだけに弥生時代は延々とー。
授業は現代史まで届かず、
受験には役立たなかったが歴史好きに。
経営者となった今は「歴史に学ぶ経営」がテーマ。
平成22年に執筆したのは「愛知 千年企業 江戸時代編」で、
それに続く明治編、大正編と並んで3部作になる。
中京財界史に挑戦した本は、
昭和30年発売の「創意に生きる」(城山三郎氏)以来。
桶狭間の合戦の武功にどんな恩賞が与えられたのかを調べた
『織田信長の経営塾』(講談社)、
『武田家滅亡に学ぶ事業承継』(幻冬舎)など著書多数。
社会保険労務士。名古屋市出身。昭和34年生まれ。
http://www.tingin.jp/
●日時 平成23年11月21日(月)  
   
18:00 受付
18:30 講演会
20:00 懇親会
    ※くれぐれも時間厳守でお願い致します
●会場 札幌かに本家・栄中央店  
    TEL 052-263-1161
    http://www.kani-honke.co.jp/  
●会費 メンバー 無料
     ※メンバーの代理参加は1名まで無料
(代理は社員さんと御家族のみ)
      
◇◇ ビジター歓迎 ◇◇
皆様のお知り合いの方をご紹介下さい
会費 ビジター 8,000円

9月からの予定

9月例会
●テーマ  「親切をすると会社がもうかるのか!?」
●講 師 「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動代表
      コラムニスト 志賀内 泰弘 氏      
●プロフィール
○「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動代表。
 思いやりでいっぱいの世の中をつくろうと東奔西走中。
 月刊紙「プチ紳士からの手紙」を発行し、編集長もつとめる。 
○「志賀内人脈塾」主宰。
 人のご縁の大切さを説き、後進の育成につとめている。 
○講演活動も小・中・高等学校、大学、大学院、老年大学、
 異業種交流会、ロータリー・商工会議所などの
 企業団体セミナー、関西電力、宝酒造、
 ケンタッキーフライドチキン、ダスキンなど
 企業の社員研修など全国津々浦々へ。
〈著書〉
「なぜ、「そうじ」をすると人生が変わるのか?」ダイヤモンド社
「毎日が楽しくなる17の物語」PHP研究所
「教育革命 塾が作った学校の挑戦」PHP研究所 など多数

編集長 志賀内泰弘について


●日時 平成23年9月13日(火)
   
18:00 受付
18:30 講演会
20:00 懇親会
    ※くれぐれも時間厳守でお願い致します
●会場 料亭 蔦茂 (講演会、親睦会)
    http://www.tsutamo.com/
    名古屋市中区栄3-9-27  TEL 052-241-3666 
●会費 メンバー 無料
     ※メンバーの代理参加は1名まで無料
(代理は社員さんと御家族のみ)
      
◇◇ ビジター歓迎 ◇◇
皆様のお知り合いの方をご紹介下さい
会費 ビジター 8,000円
メンバーの家族、又は社員(1名まで) 5,000円
—————————————————–
◇◇これからの例会のお知らせ◇◇     
■平成23年10月例会
日時  平成23年10月20日(木)  講演 18:30
講師  株式会社J&Tシステムズ 代表取締役 清田常治氏
    http://twitter.com/#!/GeorgeJapan
    http://www.facebook.com/kiyotajoji
    BLOG http://www.jt-sys.co.jp/~j-kiyota/
テーマ 「今インターネットの時代 Twitterとfacebook セミナー」
会場  ローズコートホテル 
    名古屋市中区大須4-9-30 TEL 052-269-1811 
■平成23年11月例会
日時  平成23年11月21日(月)  講演 18:30
講師  株式会社北見式賃金研究所 所長 北見昌朗氏
    http://www.tingin.jp/
テーマ 「親幕末を生き抜いた名古屋商人に学ぶ-」
会場  札幌かに本家・栄中央店
    TEL 052-263-1161
    http://www.kani-honke.co.jp/  
 
———————————————————-
◇◇毎年恒例 蔦茂での忘年会のお知らせ◇◇
少し早いですが、忘年会の日時が決定しました
今年もたくさんの方のご参加、お待ちしています
日時 平成23年12月27日(火)    宴会開始 18:00
余興 「名妓連・舞妓と芸妓とお座敷遊び」
会費 会員             5000円 
   会員家族、社員      10000円 
   ビジター          15000円
会場 料亭 蔦茂(つたも)
   名古屋市中区栄3-9-27
   TEL 052-241-3666 
   http://www.tsutamo.com/ 
——————————————————–
◇◇「歩いて楽しい栄ミナミ イベント予定」のお知らせ◇◇
名古屋・栄、南大津通りの歩行者天国が
27年ぶりに復活!!
毎日曜日午後、栄交差点三越前より
矢場町交差点パルコ南館まで・テスト実施 
第1期 9月18日、25日、10月2日、9日  
   12:00~18:00
第2期10月23日、30日、11月6日、13日 
   12:00~17:00          
 
10月15日、16日は名古屋まつり開催
歩いて楽しい栄ミナミ・イベント予定  
HP http://www.sakaeminami.com/
●8月27-28日 
第13回にっぽんど真ん中祭り 久屋大通り公園、ほか20会場
●10月14日-23日 
名古屋グルメ選手権 NAGO-1グランプリ 矢場公園ほか
栄ミナミ地域活性化協議会 深田正雄

2011年6月例会のお知らせ

◇◇6月例会のお知らせ◇◇
●テーマ   「第4権力(既成メディア)の崩壊」
●講 師 元毎日新聞社 常務
      慶應大学マスメディア・コミュニケーション研究所講師
      河内 孝 氏
●プロフィール
1944(昭和19)年東京都生まれ。
慶応大学法学部卒業。
毎日新聞社会部、政治部、ワシントン支局、外信部長をへて
編集局次長。
その後、社長室長、東京本社副代表、中部本社代表など
経営の要職を歴任し、
常務取締役(営業・総合メディア担当)を2006年に退任、
現在に至る。
著書に、「新聞社―破綻したビジネスモデル―(新潮社)」
    『次に来るメディア』(ちくま新書)
新刊書「報道再生 グーグルとメディア崩壊 (角川oneテーマ21)
●日時 平成23年6月24日(金)
18:00 受付
18:30 講演会
20:00 懇親会
    ※くれぐれも時間厳守でお願い致します
●会場 ローズコートホテル 名古屋市中区大須4-9-30 
    TEL 052-269-1811
●会費 メンバー 無料
     ※メンバーの代理参加は1名まで無料
(代理は社員さんと御家族のみ)
◇◇ ビジター歓迎 ◇◇
皆様のお知り合いの方をご紹介下さい
会費 ビジター 8,000円
メンバーの家族、又は社員(1名まで) 5,000円
—————————————————–
◇◇これからの例会のお知らせ◇◇     
■平成23年7月例会
日時  平成23年23年7月13日(水) 講演 18:30
講師  ナゴヤ映画制作協会 
    代表  小宮山 亨氏 
    http://nagoya-eiga.org/
テーマ 「ナゴヤ映画奮闘記」
会場  札幌かに本家・栄中央店
    TEL 052-263-1161
    http://www.kani-honke.co.jp/ 
■平成23年9月例会
日時  平成23年9月13日(火)  講演 18:30
講師  「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動
    代表 志賀内泰弘氏
    http://www.giveandgive.com/info/shiganai.html
テーマ 「親切をすると会社がもうかるのか!?」
会場  料亭 蔦茂 (講演会、親睦会)
  名古屋市中区栄3-9-27  
    TEL 052-241-3666 
    http://www.tsutamo.com/ 
 
———————————————————-
歩いて楽しい栄ミナミ・イベント予定
http://www.sakaeminami.com/
●7月15日(金)-8月10日(水)  
 栄ミナミで「ぎふを味わおう」 料亭つたも ほか
●8月6日(土)-7日(日) 夕刻より  
 第4回栄ミナミ盆おどり@GOGO2011 矢場公園
●8月27日(土)-28日(日) 
 第13回にっぽんど真ん中祭り 久屋大通り公園、ほか20会場
●10月14日(金)-23日(日) 
 名古屋グルメ選手権 NAGO-1グランプリ 矢場公園ほか
栄ミナミ地域活性化協議会 深田正雄

2011年4月例会 講演レポート

■■ 4月例会 講演レポート
■■   テーマ  「フェアトレードで未来が変わる! 
■■             -人にも地球にも優しい社会-」
■■■  講師  タレント
■■■■     エシカル・コーディネーター
■■■■■       「エシカル・ペネロープ株式会社」     
■■■■■■   代表取締役  原田さとみ氏
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■       
 
                開催日 平成23年4月19日(火) 
     会場  札幌かに本家・栄中央店
 
■■人にも地球にも優しい社会をつくる■■
「フェアトレード」
ちょっと聞きなれない言葉だと思いますが、
「公正貿易」ということです。
もともと貿易というのは、
海のもの、山のもの、異国のもの、お互いにないものを
融通しあって、それがお互いの幸せのためであった。
ところが、
強い人がどんどん強くなって、
弱い人がどんどん搾取されるようになって、
不平等が生まれてきた。
これが今の先進国と途上国の形です。
それを何とかしようというムーブメントが
「フェアトレード」です。
エチオピアは牧歌的な風景で、
のどかな想像をするかと思いますが、
国土の2%にまで自然林が減ってしまっています。
森がないのです。
これは先進国が開拓したわけではありません。
エチオピアは人が多い。
貧困な中、食べていくために、
田畑を作るために木を切ったのです。
そこで何とかしなければいけないということで
動き出したのがJICAです。
森を残すにはどうしたらいいかということを
地元の人たちと考えるメンバーを派遣し、
食べていくために木を切ってきた人たちに、
どうして木を切ってはいけないかということろから話をした。
木を切り森がなくなると、雨が地中に貯まらなくなって、
土砂崩れがおき、川が乱れ、土が枯れ、
農作物が育たなくなります。
そして、
森を守ることで自分たちの暮らしが向上すると理解し、
納得するために、その森にもともと自生していた
コーヒー豆の栽培に着眼したのです。
彼らが生きていくために必要なものを見つけて
持続可能な収入の方法を見つけてあげることが、
森を守ることに繋がりました。
森林の中で、農薬や化学肥料なしで育つコーヒー豆には
フェアトレード認定を得て、
プレミアム価格での取引ができるようになり、
彼らはコーヒー豆を作ることに誇りを持ちました。
さらには、女性にお仕事も創出しました。
森で取れたコーヒー豆を生豆でそのまま出荷するだけでなく、
女性たちによって手焙煎したオリジナルコーヒー豆として
日本へ出荷もしています。
男性が働いてお金が入っても、彼らは、
「子供たちは学校なんかにはいかなくてもいい。働けばいい」
という話になってしまうのですが、
女性たちは子供を学校に行かせてあげることにお金を使います。
女の子も、男の子も平等に学校に行かせてあげたい
という思いでお金が使われるので、国の発展につながるのです。
エチオピアとルワンダと2つの国に行きましたが、
2つの国のあり方、考え方は大きく違っています。
例えば、
茅葺きの屋根では雨漏れがひどいということで、
海外の支援者たちがエチオピアで、
トタンの屋根に替えたそうです。
村の人たちはとても喜んでいたそうですが、
私は支援のあり方として、疑問を感じました。
なぜなら、
トタンの屋根を先進国の人間が現地の人々に与えるのは
てっとり早く簡単かもしれない。
でも、村の人たちが今後、どこかで買ってこようと思っても、
それは難しいわけです。
自分たちで作ろうと思っても作れない。
たしかに、
そこにいる人たちにとっては、
生活の場所が不衛生なところで子供たちが病気になっていく。
それを一刻も早く抑えるにはトタンが必要だったわけです。
ただ、そのトタンを1回味わってしまうと、
元に戻れないじゃないかという恐怖が私たちの中にあるのです。
できるだけ自国で産出している素材を使って、
いつでも自分たちで作れるもので、
自分たちで作れるようにサポートをできないものかと思いました。
自国の文化に誇りを持たせてあげて、
その国の誇るべき伝統を守りながら発展してほしいと思います。
茅葺の屋根を残すように修繕するお手伝いをすることの方が
手間はかかるけれど、大事な支援なのではないかなと感じました。
そういうエチオピアでの不安を抱えながら
ルワンダに行ったのですが、
ルワンダでは、土で作った屋根ばっかりだったのです。
現地の人に聞くと、
「オレはトタンの屋根は嫌いだ」と言っていました。
なぜかというと、
壊れたときに自分たちで直せないというわけです。
「オレたちは、自分たちで直せる物、自分たちの国にある物でやりたい」
と言っていました。
この話を聞いて、これが支援のあり方の答えだと思いました。
私たち先進国がこれまでの経済の発展のために、
途上国に作ってしまった歪による不平等で、
貧困から彼らを苦しめてしまっている状況を何とかするために
行っている支援です。
これ以上誰をも犠牲にしないで、
持続可能な平和のためにできることを、
思いやりの心でサポートすべきだと思います。
フェアトレードを私たちが始めようと思ったきっかけは、
自分がおいしいチョコレートを食べている陰で、
苦しんでいる人がいたら・・・
と思うところから始まっています。
フェアトレードの精神が大事になってくる時代が
間近にきていると感じています。
フェアトレードタウンというのは、
イギリスのガースタングという小さな町が発祥です。
6月、熊本がアジアで一番目フェアトレードタウンになります。
イギリスのガースタングから始まって、ちょうど1000番目です。
名古屋でもフェアトレードタウンへの推進活動が
盛んになってきています。
日本でのフェアトレードの認知度はまだまだで、
17%といわれている中、なんと名古屋での認知度はすごい。
30%近いのです。
今、私たちは、いろんな企業の方、学生たちと一緒に
「フェアトレードタウン名古屋推進委員会」を結成し、
活動をしています。
そんな中、
名古屋の学生たちがフェアトレードマップを作るために、
どれくらい栄のお店がフェアトレードのものを扱っているのかを
一軒、一軒、訪問し、調べています。
すると、フェアトレードについてよく知っているお店もあれば、
そうでないお店もありますので
「フェアトレードってなんですか?」と聞かれることもある。
そのたびに、学生は、
フェアトレードとは、ということから話をするわけです。
そうすると、
「私も勉強します」といってくれるお店もある。
それがきっかけで、
フェアトレードの雑貨を取り扱ってくださるお店も増えたり
しています。
学生が一軒一軒回ることによって、町が変わってきました。
名古屋がアジアで2番目のフェアトレードタウンになるのも
近いと思います。
■■思いやりの精神「エシカル」■■
フェアトレードの精神は、
「エシカル」という言葉に表現できると思います
「エシカル」とは、
直訳すると「倫理的な」という意味ですが、
エシカルという概念は「思いやり」だと思っています。
私たちが何か物を買ったり、食べたりするときに、
私たちは幸せを感じる。
だけれども、
その物の背景に隠れている労働環境、貿易の環境、
自然環境など、誰かを傷つけてはいないかな
ということを常に考えるのがエシカルです。
ファッションはこれまで
、シーズンごとに次から次へと物をクリエイトして、
どんどん物を消費してきました。
フェアトレードとは対極にある世界でした。
これではいけないということで立ち上がったのが
エシカルファッションという分野です。
エシカルというのは、
フェアトレードよりも、もっと広く捉えていて、
ファッションであれば、オーガニックだったり、
リサイクルの素材を使っていたり、
伝統的な技術を大事にしているか、
児童労働をしていないか、搾取していないか、
生物多様性も大事にしているかということも考えています。
その上で、ファッションですので、
デザイン力、品質の高さが大事になってくる。
そんなエシカルファッションのお店を、
名古屋のテレビ塔で始めました。
また、「コップなごや水基金」という活動がありますが
これは国内フェアトレードであり、
エシカルな活動といえます。
自然の恵みはどこからかというと、山間部からです。
何一つ、都会では作れない。
だから山間部と都市部のつながりを大事にしないといけないな
ということで始めたのが「コップなごや水基金」です
「エシカル」というのは「倫理的な」ということよりも、
「いろんなことや、全ての命を大切にしよう。
 私たちは一人で生きているのではなくて、
 地球上の全ての命とつながって生きているんだよ」
ということなのです。
——————————————————-
■■ バックナンバー■■
●バックナンバーは、
 当会ホームページにてご覧いただけます    
 http://www.nagoyakeiei.jp/
 ◇最近の講演◇
●平成23年3月例会 講演レポート
テーマ  「気楽にまじめな話ができる、
             世界で一番社風のいい会社」
 講師  株式会社ISOWA       
     代表取締役社長 磯輪 英之 氏
●平成23年2月例会 講演レポート
テーマ  「流域環境圏の「里結い」 Sato-Yuiがこの国を救う」
 講師  株式会社創建       
     代表取締役会長 筒井 信之氏
●平成23年1月例会 講演レポート
テーマ  「生活目線で政治を変える!」
 講師  衆議院議員       
     佐藤ゆうこ 氏
●平成22年11月例会 講演レポート
テーマ  「地域主権を語る」
 講師  衆議院議員       
     石田 芳弘 氏
●平成22年10月例会 講演レポート
テーマ  「逆説の名古屋史」
 講師  歴史作家       
     井沢 元彦 氏

2011年5月例会のお知らせ

◇◇5月例会のお知らせ◇◇
●テーマ   「心痛む百貨店泥沼戦争と心和らぐ音声ガイドのお話」
●講 師 中部百貨店協会  事務局長 大西隆信 氏
●プロフィール
1947年 岐阜県本巣郡(現本巣市)生まれ
1971年 名古屋大学文学部(社会学)卒業
      ㈱松坂屋に入社
1998年 松坂屋静岡店 販売促進部長
1999年 松坂屋名古屋事業部 宣伝催事部長
2000年 松坂屋 MD本部 雑貨仕入部長
2005年 ㈱マツザカヤ友の会 取締役社長
2008年 ㈱松坂屋 定年退職
      中部百貨店協会 事務局長に就任 現在に至る
ボランティア・平和活動などにも積極的に参加
名古屋大学全学講座「キャリア形成論」非常勤講師を務める
●日時 平成23年5月25日(水)    
18:00 受付
18:30 講演会
20:00 懇親会
※くれぐれも時間厳守でお願い致します
●会場 料亭 蔦茂 (講演会、親睦会)
    http://www.tsutamo.com/
    名古屋市中区栄3-9-27  TEL 052-241-3666
●会費  ◇◇ ビジター歓迎 ◇◇
皆様のお知り合いの方をご紹介下さい
会費 ビジター 8,000円

2011年3月例会

■日時  平成23年3月14日(月) 講演 18:30
講師  株式会社ISOWA  磯輪英之社長
http://www.isowa.co.jp/i
テーマ 「気楽にまじめな話ができる、世界で一番社風のいい会社」 (仮題)
会場  料亭 蔦茂 (講演会、親睦会)
  名古屋市中区栄3-9-27  TEL 052-241-3666 
    http://www.tsutamo.com/