■7月例会 講演レポート
テーマ 「人工乳房・・・世界で唯一の戦略」
講師 株式会社池山メディカルジャパン
代表取締役 池山 紀之 氏
NAGOYA KEIEI KENKYUKAI BUSINESS & CULTURE
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開催日 平成24年7月12日(木)
会場 札幌かに本家・栄中央店
■世界初、形状記憶合金を医療に使う
私は大学を卒業したとき、
名古屋に戻り父親の仕事を手伝おうかなと
思っていましたが、
もっと自分の好きなことを勉強したいという
思いもあってアメリカに留学。
あるとき
父親が友人の歯医者さんと一緒に学会のため
アメリカへ来たのです。
何をするために学会に来たのかと聞くと、
歯のインプラントについての発表に来たというわけです。
当時、私には、何のことかよくわかりませんでした。
その後、父親の希望もあり、帰国。
歯科の仕事をずっとやっていたのですが、
その中で、形状記憶合金という金属を使って、
インプラントを作ったのです。
形状記憶合金では、日本一といわれる専門家のところへも
勉強に行きました。
気がついてみると、
私より詳しい人がいなくなっていました。
形状記憶合金を医療の世界に使うということは、
誰もやっておらず、
世界中からお呼びがかかるようになり、
講演をさせていただけるようになりました。
その後、形状記憶合金を使って、
前立腺のステントというものを開発し始めました。
男性の場合、年齢を重ねますと、トイレが近くなります。
尿の切れが悪くなります。
それを一発で治すものができるんじゃないか、
ということで、形状記憶合金で作ったのです。
最初の依頼は、ある泌尿器科の先生からでした。
それを試用したおじいちゃんは、
皆、おしっこがバンバンにでるようになって
大変喜んでくださいました。
これを起業化しようと思いましたが、問題は、お金。
新しい事業をやるにも2、3億はかかる。
どうしようかと困っていたところに、
アメリカの友だちからアメリカでやりたい
という話が出たのです。
ところが、
ベンチャーキャピタルを説得し、契約をし、
弁護士にもお金をつぎ込み、
もうすぐ承認というときになって、大変なことが
起きたのです。
2001年9月11日の同時多発テロ。
しかも、ベンチャーキャピタルが、
そのビルに入っていたのです。
ビルとともに、私たちの夢も崩れ落ちる思いでした。
ところがその年の12月、
医療メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンさんが
突然、私のところへ訪ねてこられ、
これを商品にしましょうという話をいただいたのです。
ただ、そのとき
ジョンソン・エンド・ジョンソンさんは、
5000円で欲しいというのです。
実売価格20万円のものを5000円は安すぎる。
最終的には1万5千円から1万8千円くらいで売ろう
ということで
5ヵ年計画を立てて、スタートすることにしました。
1万5千円のものを20万円で
ジョンソンが売って儲けるのは悔しいなと思って
「私も売らせてくださいよ」といったら、
「どうぞ売ってください」と言われました。
そこでいろんな業者さんや病院を回って聞いてみたら、
もうすでに、あらゆるところに
ジョンソン・エンド・ジョンソンさんが取引していたのです。
それだったら、医院かクリニックを開いて、
そこで私がやれば、20万円と手術料18万くらい入ってくる。
それを内々でやって商売をしようと思ったのです。
ただスタートするにもお金がない。
それだったら初めから上場を目指そうと思いました。
出資法では50人以下であれば出資はOKだということで、
青年会議所などの仲間を日本中回り1億5千万集めました。
私としては、
こんなに良い物が、世の中で売れないわけがない
と思っていたのです。
■■人工乳房の研究と起業化■■
会社を作って丸3年目の2005年5月。
厚生労働省から印鑑を持って来いと言われたので、
喜び勇んで行きました。
ところが、通告は実験のやり直しということで、
差し戻しのための印鑑だったのです。
すでに1億5千万円をすっかり使いきっていました。
株主に、どう説明しようかすごく悩みました。
実はそのとき、
妹が乳がんになって5年たって、
一族郎党で温泉に行ったのです。
そのときに、お風呂気持ちよかったねという話をすると、
「お風呂なんて入れるわけがないじゃないか」と言うわけです。
妹自身は、乳房が片方だけということには吹っ切れていた。
ただ、その姿を母親が見た時に、
目をふせたり、どんな顔をしていいのかわからない
という心の様子がわかる。
だからお風呂には入れなかったというのです。
そこから人工乳房の研究が始まりました。
一番、わからかったのは下着。
最初は妻について来てもらって、下着売り場に行きました。
ところが、
店員さんにいろんなことを聞けば聞くほど、
変態あつかいされてしまう。
こうなったら直接下着メーカーさんに聞こうと、
いろんな会社を回りました。
そうすると1ヶ所だけ、
非常に熱心に私の話を聞いて下さったところがあったのです。
そこで下着の秘密がわかりました。
女性は下着の中に、乳房を入れさせられているのです。
だから、下着ありきで胸を作ればいい。
初めはそっくりの胸を作ろうとしたけれど、
必要なのは「そっくり」ではない。
今まで人工乳房を作っている会社は
そこに気づいていなかったのです。
だから乳がん用の下着しかつけられなかった。
ところが
普通の下着はワイヤーが入っているので、
そこに当たってしまって入らないのです。
そもそも人間は、左右対称ではないわけです。
大体対称なのだから、大体でいい。
今のところ世界中で我々のものだけが、
普通のブラジャーをつけられる人工乳房です。
試作品が完成したので
2005年6月の乳がん学会にエントリーしました。
非常に良い評価をいただきました。
最初のお客さまが長崎の患者さんでした。
長崎大学の先生が学会での私の発表に目をとめて下さって、
紹介をくださったのです。
それが2005年12月。
苦労して乳房を作り、完成した時に、
その乳房を見た先生が患者さんのために涙を流したのです。
こんな先生がいるのだったら、
たとえ、手取りは少ない仕事でも、やってもいいなと思えました。
最初の年、2年目と、ずっと収支はマイナスでした。
やればやるほど、マイナスになっていきました。
ただ、じわじわと口コミが広がっていったのです。
一般の人にもこういうものがあるんだ
ということを知ってもらいたいという思いから
「N-1グランプリ」という
名古屋の中小企業ナンバー1コンテストにでたのが
2009年です。
そしてこの年、グランプリをいただきました。
N-1グランプリをいただいてからは、
いろんなところで、いろんな話をさせていただくように
なりました。
2010年、朝日新聞さんの全国版に取り上げていただいた時には、
急にブレイクをしました。
病院だけにアプローチをしているのでは、
患者さんだけへのアプローチになってしまいます。
たしかに、紹介というのは早い。
すぐに効果も表れるのです。
非常にわかりやすい構図なのです。
ただ、
乳がんというのは、いつ誰が起こるかわからない。
一般の女性の方たちに、
世の中にはこういうものがあるんだよ。
お風呂も入れるし、スポーツもできる、
普段の生活も普通にできるんだよ。
ということを知っていただくことは
非常に重要なことだと思っています
201206レポート 自衛する老後
■6月例会 講演レポート
テーマ 「自衛する老後」
講師 元毎日新聞社 常務
慶應大学マスメディア・コミュニケーション研究所講師
河内 孝 氏
NAGOYA KEIEI KENKYUKAI BUSINESS & CULTURE
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開催日 平成24年6月22日(金)
会場 ローズコートホテル
■崩壊寸前の介護政策
私が毎日新聞を辞めたとき、
全国の特別養護老人ホーム組織の会長をやっていた友だちに
少し手伝ってくれないかと言われたことがきっかけで、
老人福祉に関わるようになり勉強してきました。
その中で、
どうしても理解できない疑問が2つ出てきたのです。
65歳以上の第一号被保険者が2695万人で、
40歳から64歳の第二号被保険者が4240万人います。
これが毎月、平均にすると5000円近く払っているのです。
一方で、
介護認定は、要支援1~2、要介護1~5の7段階あり、
認定を受けてなんらかの介護保険を使っている人が403万人。
つまり
保険を使っている人は10%以下ということです。
9割が掛け捨て。
にもかかわらず介護財政は火の車です。
だから3年ごとに、
どんどんと保険料が上がっていっているのです。
使う人が一割以下で、
毎回値上げしないといけないような状況にあって、
これが30%になったら、どうなってしまうのか?
ということです。
この疑問を財務省や厚労省の人、介護保険施設の経営者、
誰に聞いても、答えられない。
役人に言わせれば、
「オレが辞めた後のことまでは知らないよ」
ということらしい。
厚生年金制度を始めたときのころ、
社会保険庁の内部会議の記録によると、
毎月お金はどんどん入ってくるが使い道がないから困っていた。
貯まって仕方ないから、
ざるに水を注ぐようなレジャー施設を作ったり
簡保の家を造ったりしたわけですね。
そして実際、必要な時には財政が破たん状態であった、
というわけです。
介護保険も同じ道を歩んでいる。
省の中で、自由に使える特定財源である年金や医療保険、
介護保険など特別会計を作った人はチャンピオン、
殿堂入りなのです。
調べれば、調べるほど、いかにいい加減かがわかる。
役人だけがいい加減なのはまだしも、
我々の人生がそれに左右されるようなことはやめて欲しい。
これは大変だぞということを、
特に若い人に知っていただきたいのです。
■在宅介護を勧めたい国の本音
第二の疑問は厚労省が推進する「在宅介護路線」です。
2025年は、日本の高齢のピーク。
人口当たりの65歳以上が一番多くなる。
そのときに何が起こるか?
最近、良く新聞ででてくる言葉として「在宅介護」がある。
施設で老いていくより、「住み慣れた家の方が幸せでしょ」
と聞かれて「NO」という人はいないわけです。
少し古い統計ですが、
65歳以上の高齢者の人に伺ったところ、
家で死にたいという人が88%。
しかし
実際に家で死んでいる人は10%切っています。
この理由のひとつは、
火葬場に持っていくのに、
死体検案書という医者がサインした書類が必要なので、
どこで死のうと
いったんは、医者に見てもらわないといけない。
しかも、
死んでから48時間以内に医者に見てもらって、
死亡検案書を出してもらわないと変死扱いになってしまい
パトカーが来てしまう。
そういうこともあって、
なかなか家で死ぬのは難しくなったのです。
しかし、
この在宅介護、在宅医療、訪問診療など、
役人が”おいしいこと”言うときは、
私の経験で言えば、絶対に裏がある。
ということで調べてみたら、
あっという間に答えがでました。
結論からいうと、
国から出るお金が、在宅の方が安上がりなのです。
家で老いて、家で亡くなってくれた方が、
医療費や介護保険の支払いが半分くらいで済む。
だから、役人は、
住み慣れたところでとか、地域に根ざしたとか、
家族に囲まれてとか、
そういう耳触りのよいことを言うわけです。
介護保険の給付をデータ的に調べてみると、
施設に入っている人は、
施設が管理して必要な介護保険の請求をします。
例えば、
要介護3というのは寝起きができない、
排泄も大変、着替えも助けがいるという状態です。
この場合、月に36万5千円ほど介護保険が使える。
在宅介護の場合、
この枠でどういうことができるかというと、
1日2回、30分ずつ計1時間の訪問介護、
月4日くらいのショートステイ、
週1回くらいのデイサービス、
こんなメニューになるかと思います。
これで一割負担、一月3万7千円ですね。
これ以上のサービスは全額自己負担です。
一方、日本で今、国民年金を受給されている方の平均額が
6万6千円。
自分の持ち家だとしても、
ガス、水道、電気代、食費もいるわけです。
だから在宅のケアプランは、
「払える範囲」でケアマネさんにつくってもらう。
つまり限度の半分以下になる。
役人はシメシメです。
逆に施設に入ってしまえば
衣食住込で4人部屋であれば月、6万円以下で済む。
しかも家族介護はゼロ。
つまり、国にとって在宅介護は安上がり。
在宅に誘導して介護保険の支出を下げようとしている
というふうに考えるべきです。
在宅介護の悲惨さ。
在宅介護については、
ご経験のある方もいらっしゃることと思います。
家族介護力が不可欠です。
午前2回、午後2回、深夜1回で5回、
訪問介護を呼んだら自己負担です。
独居老人のことを考えて下さい。
30分間の訪問介護では何が出来るのでしょう。
あるとき行ってみたら、死んでいたということが
起こってしまう。
これが住み慣れた、お年寄りにやさしい介護でしょうか?
家族介護で一番辛いのは、
「いつ終わるかがわからない」ということです。
にも拘らず、
なぜこんなことを厚労省は勧めるのか。
カネ勘定しか考えてないといわざるを得ない。
■自衛する老後
日本の介護政策というのは、崩壊寸前といわれています。
たしかに、保険財政だけ考えれば、そうですが、
私自身はそうは思っていません。
なぜかというと、今の介護保険では
65歳以上の人は非生産人口に入れられているからです。
でも機会さえあれば皆さん70歳でも75歳までも働きたい。
そうすれば保険を使う人より、「掛け捨て」の人が
増えるのです。
そこは、ちょっと発想を変える。
おんぶされる方も、おんぶされたくないのです。
65歳以上の人は働けないのかというと、とんでもありません。
今は75歳まで働いている人は、たくさんいます。
個人差はありますが、
今の65歳以上の人は、昔でいうと50代です。
年金だけでなく、もっともっと稼いでいただいて、
おんぶされるのではなく、皆が担ぐ方になる。
その方が、皆、気持ちいいし、
「楽しくなければ老後じゃない」。
そういうことを考えたらどうかというのが
私の主張なのです。
201205 レポート 東山動植物園リニューアル・公共と民間
■5月例会 講演レポート
テーマ 「東山動植物園リニューアル・公共と民間」
講師 株式会社新東通信
上席執行役員 坂田 稔 氏
NAGOYA KEIEI KENKYUKAI BUSINESS & CULTURE
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開催日 平成24年5月14日(月)
会場 料亭 蔦茂
東山動植物園再生プランというのは、
前市長の松原さんが市長時代に
550億くらいかけてリニューアルしようということで
準備を進めていた計画です。
その後、河村市長になり、
予算を350億円くらいに減らし、
計画も25年間に延長して進めようということになりました。
2年ほど前から、リニューアルが始まり、
今現在、象舎を造り直しています。
戦争時代、食糧難になったことで動物園の閉鎖、
動物を全て殺戮という司令が出たのですが、
市民の声もあって象を守った。
そんな経緯もあって象は東山のシンボルとされています。
北海道には大変有名になった旭山動物園があります。
ここは動物が自然に動く動きを観察できるということが
売りになっています。
東山は、それをマネするということではなく、
新しい形でそれを展開しようとしています。
現在アジアゾーンを作っています。
アジアにいる多様な動物を同じエリアの中に
入れてしまうのです。
今、東山動植物園の売店は、
映画「三丁目の夕日」のような昭和時代のレトロな状況です。
同じような店が10数軒、園内にあります。
東山動植物園の営業時間は朝9時から、夕方の5時まで。
夏も冬も同じ。
夕方4時45分で「蛍の光」が鳴り始めて、
5時に閉めてしまうわけです。
来場者アンケート、
周辺の状況をマーケティングをしたところ、
「営業施設をもっと充実して欲しい。」
「入場時間や開催時間についての検討をして欲しい。」など
さまざまな声がありました。
その中で、我々ができることをご提案して、
スタートしようとしています。
■東山動植物園活性化に向けた事業展開
今回の事業については、
代表企業は私共になっていますが、
7つの会社でチームを組ませていただきました。
今回の東山については
多様な動植物がひとつのパレットの上にある
というイメージから、
「東山Palette(パレット)」というコンセプトで
展開をしようという提案をしています。
動物園側の施設計画としては、
コアラ舎の前に
スイーツを中心としたカジュアルレストランと、
東山オリジナルグッズの物販施設を
用意させていただく予定です。
ここで販売するもののほとんどが、
東山動植物園のオリジナル商品です。
植物園は非常に広い面積を持っています。
現在、積水ハウスのモデルハウスが
建っているところがあります。
これは東山動植物園が50周年を迎えたときに、
積水ハウスさんが、
いろんなものに使ってもらっていいですよ、
ということで建物を建て、
昨年、名古屋市に譲渡したのです。
そこではお花の教室とか、
植物園の中で行うべき催事のために使っています。
それを撤去して、新しく施設を造る計画です。
ただ、営業時間としては朝9時から夕方5時。
さらに駐車場も閉まる。
しかも動植物園の年間入場者数が220万人。
植物園がその20%の約40万人。
年間40万人でその営業時間では、
どう考えても立派なレストランの営業はできません。
ですから動植物園来園者のみをあてにする商売は
絶対にダメだと考えました。
動植物園来園者に頼らず独立採算できる、
ということを前提とした事業計画を作りました。
このレストランは、
結婚式も挙げられるレストランとして
事業計画を作っています。
また多目的に使用可能な施設も併設させ、
複合的な使用を可能にしています。
東山の調査をさせていただいた中で、
はっきりとわかっているのは、
東山動植物園には遠方からの団体バスが来ない
ということです。
その理由の一つとして、
バスというのは1台40人から50人、2台で約100人。
それほどの人数の人たちが
一度に食事をするところがないのです。
現在、園内施設の東山タワーの高所に
レストランはありますが、
エレベーターが小さすぎて
一気に乗客を上げることができません。
そういうことも含めて、
100人以上同時に受け入れることができるようにしたことで、
バス会社からいくつもお問い合わせをいただけるように
なりました。
結婚式は、平日が少なく土日祝日に集中しますので、
これで平日対策の一つができつつあります。
また結婚式は植物園との相性が良い、
ということも含めて提案をしています。
結婚式というのは、式の時だけではなく
事前に花嫁さんがいろんな衣装を着て写真撮影をされます。
そう考えると東山動植物園というのは、
お花畑や竹林があったり、合掌造りの家があったり
様々な環境があるわけです。
またこの大きさの規模であれば
一年間で多くの結婚式を挙げることができます。
植物園の丘の上の方に、桜の回廊ゾーンを作っています。
今、桜の木が1300本くらい植わっています。
もし一年間で100組結婚式を挙げられ、
そのカップルが植樹をしたとすると年間100本。
10年間で、1000本の木を植えることになるわけです。
その植えた木というのは
我々を含めて、施設の方が水やりをしたりするのですが、
結婚式をしたカップルが時々、水をやりに来るとか、
子供が生まれ、
その子供たちが大人になった時に恋人を連れて、
両親が植樹をした木を見に来る。
あるいは、
自分たちがお年寄りになり、
子供たちが結婚をしたときに家族で見に来る
といったことをしてもらえるようになれば、
という思いがあります。
音楽噴水なども計画しています。
ラスベガスにあるホテルでは、
音楽にあわせて噴水が踊るという素敵なショーがあり
名物となって、
たくさんの観光客がこのショーにあわせて集まってくるのです。
東山も、規模は小さいのですが、
そういう音楽噴水ショーをやろうと考えています。
夜間営業が可能になっていますので、
時間を決めて、施設の中でお食事を楽しみながら
観ることもできる、そんな計画です。
植物園エリアに合掌造りの家があります。
これは、30数年前に移築されたとても大きな建物です。
ここでは和のスイーツを中心として展開することを
考えています。
高山市さんとタイアップをしてやろうか
という話も出ています。
東山動植物園というのは、
この地域においてテレビ塔、名古屋城と並んで、
名古屋が誇る施設の1つです。
また植物園というのは、
若い人たちを中心とした施設ではなく、
これから高齢化社会に向かっていく人たちにとって、
心に安らぎを与える空間なのです。
そういうことを
公共と民間とで一緒に作ることができる仕組み作りが大事。
そのために今、注目されている
「PFI手法」を用いた民間と公共のありかたの提案を
していきたいと思っています。
201203 講演レポート テーマ 「楽しみとしての地獄絵」
201202 講演レポート テーマ 「緒方貞子の経営術」
201201 講演レポート テーマ 「あなたが輝くハグニケーション」
2012年10月レポート
■10月例会 講演レポート
テーマ 「経営戦略―環境適応から環境創造へ―」
講師 名城大学 経営学部
教授 伊藤 賢次 氏
NAGOYA KEIEI KENKYUKAI BUSINESS & CULTURE
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開催日 平成24年10月17日(水)
会場 ローズコートホテル
■■企業を取り巻く経営環境の変化■■
経営戦略は、短期的ではなく、
どうしたら企業が5年、10年、30年と成長するのか
という成功の法則を明らかにすることが大事です。
経営戦略の大家、
愛知県出身で東京理科大学の教授の伊丹先生は、
経営戦略とは、
市場の中の組織としての活動と
長期的な基本設計図といっています。
近年における一番の成長産業は
コンビニだと私は思います。
あのちっぽけなコンビニが出たときに、
ここまで大きくなるなんてことは、
誰も思っていませんでした。
ところが、
すでに全国で5万店余りあって、
売上は4年前に百貨店を抜いています。
また、
宅配便や外食産業も非常に大きく成長しています。
一流企業といえども、
ちょっと長い目で見るとすごく大きく変化しています。
例えば、
旭化成の1950年から1995年の45年間の売上比率を見ると、
繊維の比率が、下がっています。
2010年では6.8%となっています。
石油化学、住宅建材の比率が高くなっています。
なぜ、こういうことが起きるのか?
どんな製品でもプロダクト・ライフサイクル
(一般に「PLC」と略称される)があるからです。
仮に旭化成が繊維にこだわっていたら
売上は今の6.8%しかなかったわけです。
ここから言えることは、
企業は長い目で見た場合に、
「新規事業に取り組まないといけない」ということです。
1955年から32年間の日本の企業ランキングで見てみます。
当時1位は東洋紡でした。
トヨタ自動車は、なんと74位です。
売上は東洋紡の10分の1です。
しかし、
32年後の1982年に、1位に踊りでたのはトヨタであり、
東洋紡は87位に落ちています。
売上高でいうとトヨタの約10分の1に下がっています。
それくらい大きな変化が起きているのです。
繊維業界全体で見ると、
この32年間で16.4倍伸びています。
これに比べて、自動車業界は750倍であり、
繊維業界の46倍も伸びているわけです。
「どこの業界に身を置くか」をよく考えないと、
自分は伸びていると思っていても、
経営環境は、がらっと変わってしまうのです。
企業が中長期的に発展するには、
経営環境の影響を強く受けます。
経営戦略は
「経営環境の中で考える」ことが重要である
ということです。
■■経営戦略の本質■■
経営戦略とは何かというと、その中核は2つあります。
「環境適応」と「自己革新」です。
環境適応も、適応ではなく、
逆に環境を創造していくことも可能です。
「環境創造」こそが、もっと優れた経営戦略といえます。
経営学で競争と言った場合、2つの競争があります。
「短期的な競争」と「長期的な競争」。
短期的な競争とは、表面的なの競争です。
しかし、
それを本質的な意味では、
それを作っている深層の競争、
つまり
「組織能力」がより大事なこととなります。
経営というのは、
開発から調達、生産、販売に至るまでの
「トータルなシステム」であり、
日常業務の流れ(「ビジネス・プロセス」)です。
この日常業務の流れこそが大事です。
これは「仕事の仕組み」です。
仕事の仕組みというのは、
いろんな会社を比較しますと、
それぞれ独自なやり方をしています。
こういった仕事の仕組みこそが、
実は、組織能力を決めているのです。
そして
その元にあるのは、「組織文化」だと私は考えています。
例えば、
トヨタ関係では、会議など、必ず「5分前集合」
(「5分前主義」)です。
5分前に出欠をとって、
全員が集まっていたら、その時点から会議が始まり、
5分前には終わります。
これはトヨタでは当たり前です。
でも、
必ずしも、よその会社では、これが当たり前ではない。
その組織のメンバーが“当たり前”と考えている
価値観や世界観及び行動規範から構成されるものが
「組織文化」です。
経営戦略には、3つの特質があります。
「変革性」「一貫性」「重点性」です。
この3つの特質は、長期的な視点であり、
変革を目指すものであり、
短期的な視点であったり、
現状の延長や手直しや修正などは経営戦略とは言いません。
経営戦略を考えるには、
まずビジョンがなければだめです。
ただし、
経営戦略は、(一般に複数の事業をもつ)
会社全体をどう成長させていくかということと、
あるひとつの事業について
市場の中でどう競争していくかという話とは、
分けて考えないといけません。
前者が「成長戦略」であり、
後者が「競争戦略」となります。
今、私が言ったビジョンというのは、
成長性の話です。
競争戦略は、
事業の種類やライフサイクル(PLC)によって
変わってきますので、
5年、10年と同じ戦略が有効であることは
あり得ないことです。
そうすると、
いくつかの事業を持つと、
その1つ1つの事業については競争戦略となりますが、
会社全体としては、
複数の事業をどう上手くやっていくかという
成長戦略が必要になるわけです。
■■戦略意思決定と「ばかな」と「なるほど」■■
最後に、「戦略的意思決定」ということと、
「ばかな」と「なるほど」という
2つの話をしたいと思います。
会社を長い目で見た場合、
乗るか反るかの大博打を打たないといけない時が
あるわけです。
そこで大きく成長するか、
そのまま伸びずに終わってしまうかの分岐点です。
このときに、
将来をどうするかを決めることが、
「戦略的意思決定」と言われるものです。
例えば、
ホンダが四輪にでるとき、
候補としては、アメリカ、東南アジア、
ヨーロッパの3つがありました。
皆が「東南アジアかヨーロッパがいいです」
と言っていた時に、
ホンダのトップはアメリカに行くんだと言った。
アメリカでトップにならなければ、
自社の目標である「世界一のオートメーカー」になれない
と判断したためです。
最近の例では、
武田薬品の海外企業の買収(買収金額1兆円以上)、
ソフトバンクによるアメリカの携帯会社の買収が
挙げられます。
もうひとつは、
「ばかな」と「なるほど」ということです。
ヤマト運輸の宅急便事業のように、
最初は誰が聞いても、
「ばかな、そんなこと止めろよ」
といわれるようなことでも、
5年経ち軌道に乗るようになると、
「なるほど!」と言われるようになる。
そうすると、多数の会社が一斉に参入してくる。
宅配便の場合には、
それまでガラガラだったのが、
35社が一斉に参入してきたのです。
こういう先を見据えたことが実は戦略であり、
経営なのです。
企業にとって一番いいのは「独占」です。
これをわかりやい言葉で言い換えると
「差別化」です。
経営戦略の本質は、
筋が通った上での、即ち合理性のある差別性です。
「合理性」と「差別性」を同時に持つことが
重要です。