■7月例会 講演レポート
テーマ 「人工乳房・・・世界で唯一の戦略」
講師 株式会社池山メディカルジャパン
代表取締役 池山 紀之 氏
NAGOYA KEIEI KENKYUKAI BUSINESS & CULTURE
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開催日 平成24年7月12日(木)
会場 札幌かに本家・栄中央店
■世界初、形状記憶合金を医療に使う
私は大学を卒業したとき、
名古屋に戻り父親の仕事を手伝おうかなと
思っていましたが、
もっと自分の好きなことを勉強したいという
思いもあってアメリカに留学。
あるとき
父親が友人の歯医者さんと一緒に学会のため
アメリカへ来たのです。
何をするために学会に来たのかと聞くと、
歯のインプラントについての発表に来たというわけです。
当時、私には、何のことかよくわかりませんでした。
その後、父親の希望もあり、帰国。
歯科の仕事をずっとやっていたのですが、
その中で、形状記憶合金という金属を使って、
インプラントを作ったのです。
形状記憶合金では、日本一といわれる専門家のところへも
勉強に行きました。
気がついてみると、
私より詳しい人がいなくなっていました。
形状記憶合金を医療の世界に使うということは、
誰もやっておらず、
世界中からお呼びがかかるようになり、
講演をさせていただけるようになりました。
その後、形状記憶合金を使って、
前立腺のステントというものを開発し始めました。
男性の場合、年齢を重ねますと、トイレが近くなります。
尿の切れが悪くなります。
それを一発で治すものができるんじゃないか、
ということで、形状記憶合金で作ったのです。
最初の依頼は、ある泌尿器科の先生からでした。
それを試用したおじいちゃんは、
皆、おしっこがバンバンにでるようになって
大変喜んでくださいました。
これを起業化しようと思いましたが、問題は、お金。
新しい事業をやるにも2、3億はかかる。
どうしようかと困っていたところに、
アメリカの友だちからアメリカでやりたい
という話が出たのです。
ところが、
ベンチャーキャピタルを説得し、契約をし、
弁護士にもお金をつぎ込み、
もうすぐ承認というときになって、大変なことが
起きたのです。
2001年9月11日の同時多発テロ。
しかも、ベンチャーキャピタルが、
そのビルに入っていたのです。
ビルとともに、私たちの夢も崩れ落ちる思いでした。
ところがその年の12月、
医療メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンさんが
突然、私のところへ訪ねてこられ、
これを商品にしましょうという話をいただいたのです。
ただ、そのとき
ジョンソン・エンド・ジョンソンさんは、
5000円で欲しいというのです。
実売価格20万円のものを5000円は安すぎる。
最終的には1万5千円から1万8千円くらいで売ろう
ということで
5ヵ年計画を立てて、スタートすることにしました。
1万5千円のものを20万円で
ジョンソンが売って儲けるのは悔しいなと思って
「私も売らせてくださいよ」といったら、
「どうぞ売ってください」と言われました。
そこでいろんな業者さんや病院を回って聞いてみたら、
もうすでに、あらゆるところに
ジョンソン・エンド・ジョンソンさんが取引していたのです。
それだったら、医院かクリニックを開いて、
そこで私がやれば、20万円と手術料18万くらい入ってくる。
それを内々でやって商売をしようと思ったのです。
ただスタートするにもお金がない。
それだったら初めから上場を目指そうと思いました。
出資法では50人以下であれば出資はOKだということで、
青年会議所などの仲間を日本中回り1億5千万集めました。
私としては、
こんなに良い物が、世の中で売れないわけがない
と思っていたのです。
■■人工乳房の研究と起業化■■
会社を作って丸3年目の2005年5月。
厚生労働省から印鑑を持って来いと言われたので、
喜び勇んで行きました。
ところが、通告は実験のやり直しということで、
差し戻しのための印鑑だったのです。
すでに1億5千万円をすっかり使いきっていました。
株主に、どう説明しようかすごく悩みました。
実はそのとき、
妹が乳がんになって5年たって、
一族郎党で温泉に行ったのです。
そのときに、お風呂気持ちよかったねという話をすると、
「お風呂なんて入れるわけがないじゃないか」と言うわけです。
妹自身は、乳房が片方だけということには吹っ切れていた。
ただ、その姿を母親が見た時に、
目をふせたり、どんな顔をしていいのかわからない
という心の様子がわかる。
だからお風呂には入れなかったというのです。
そこから人工乳房の研究が始まりました。
一番、わからかったのは下着。
最初は妻について来てもらって、下着売り場に行きました。
ところが、
店員さんにいろんなことを聞けば聞くほど、
変態あつかいされてしまう。
こうなったら直接下着メーカーさんに聞こうと、
いろんな会社を回りました。
そうすると1ヶ所だけ、
非常に熱心に私の話を聞いて下さったところがあったのです。
そこで下着の秘密がわかりました。
女性は下着の中に、乳房を入れさせられているのです。
だから、下着ありきで胸を作ればいい。
初めはそっくりの胸を作ろうとしたけれど、
必要なのは「そっくり」ではない。
今まで人工乳房を作っている会社は
そこに気づいていなかったのです。
だから乳がん用の下着しかつけられなかった。
ところが
普通の下着はワイヤーが入っているので、
そこに当たってしまって入らないのです。
そもそも人間は、左右対称ではないわけです。
大体対称なのだから、大体でいい。
今のところ世界中で我々のものだけが、
普通のブラジャーをつけられる人工乳房です。
試作品が完成したので
2005年6月の乳がん学会にエントリーしました。
非常に良い評価をいただきました。
最初のお客さまが長崎の患者さんでした。
長崎大学の先生が学会での私の発表に目をとめて下さって、
紹介をくださったのです。
それが2005年12月。
苦労して乳房を作り、完成した時に、
その乳房を見た先生が患者さんのために涙を流したのです。
こんな先生がいるのだったら、
たとえ、手取りは少ない仕事でも、やってもいいなと思えました。
最初の年、2年目と、ずっと収支はマイナスでした。
やればやるほど、マイナスになっていきました。
ただ、じわじわと口コミが広がっていったのです。
一般の人にもこういうものがあるんだ
ということを知ってもらいたいという思いから
「N-1グランプリ」という
名古屋の中小企業ナンバー1コンテストにでたのが
2009年です。
そしてこの年、グランプリをいただきました。
N-1グランプリをいただいてからは、
いろんなところで、いろんな話をさせていただくように
なりました。
2010年、朝日新聞さんの全国版に取り上げていただいた時には、
急にブレイクをしました。
病院だけにアプローチをしているのでは、
患者さんだけへのアプローチになってしまいます。
たしかに、紹介というのは早い。
すぐに効果も表れるのです。
非常にわかりやすい構図なのです。
ただ、
乳がんというのは、いつ誰が起こるかわからない。
一般の女性の方たちに、
世の中にはこういうものがあるんだよ。
お風呂も入れるし、スポーツもできる、
普段の生活も普通にできるんだよ。
ということを知っていただくことは
非常に重要なことだと思っています
2012年9月例会
9月例会
●テーマ 「地球温暖化と台風」
●講 師 NHK名古屋放送局
気象予報士 植木 奈緒子 氏
●プロフィール
埼玉県出身。
外資系エアラインの客室乗務員を5年間務めたあと、
気象予報士の国家試験に合格。
客室乗務員の時に、台風の進路や天気図などを理解したら、
もう少し機内サービスを充実されることができるのではないかと
思ったのが天気図に興味を持ったきっかけ。
機内アナウンスが好きだったので、
気象をアナウンスする仕事と思い、気象予報士に。
現在、NHK名古屋放送局「おはよう東海」
(愛知県岐阜県三重県向け平日07:45-08:00)
NHK名古屋放送局「管中天気」
(東海4県と北陸3県向け 平日17:54-18:00 不定期)を
番組担当している。
http://www.nhk.or.jp/nagoya-ana-blog/050/
●日時 平成24年9月11日(火)
18:00 受付
18:30 講演会
20:00 懇親会
※くれぐれも時間厳守でお願い致します
●会場 料亭 蔦茂 (講演会、親睦会)
名古屋市中区栄3-9-27
TEL 052-241-3666
http://www.tsutamo.com/