201205 レポート 東山動植物園リニューアル・公共と民間

 ■5月例会 講演レポート
   テーマ 「東山動植物園リニューアル・公共と民間」
   講師  株式会社新東通信 
       上席執行役員 坂田 稔 氏 
   NAGOYA KEIEI KENKYUKAI  BUSINESS & CULTURE    
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         開催日 平成24年5月14日(月)  
   会場  料亭 蔦茂 
東山動植物園再生プランというのは、
前市長の松原さんが市長時代に
550億くらいかけてリニューアルしようということで
準備を進めていた計画です。
その後、河村市長になり、
予算を350億円くらいに減らし、
計画も25年間に延長して進めようということになりました。
2年ほど前から、リニューアルが始まり、
今現在、象舎を造り直しています。
戦争時代、食糧難になったことで動物園の閉鎖、
動物を全て殺戮という司令が出たのですが、
市民の声もあって象を守った。
そんな経緯もあって象は東山のシンボルとされています。
北海道には大変有名になった旭山動物園があります。
ここは動物が自然に動く動きを観察できるということが
売りになっています。
東山は、それをマネするということではなく、
新しい形でそれを展開しようとしています。
現在アジアゾーンを作っています。
アジアにいる多様な動物を同じエリアの中に
入れてしまうのです。
今、東山動植物園の売店は、
映画「三丁目の夕日」のような昭和時代のレトロな状況です。
同じような店が10数軒、園内にあります。
東山動植物園の営業時間は朝9時から、夕方の5時まで。
夏も冬も同じ。
夕方4時45分で「蛍の光」が鳴り始めて、
5時に閉めてしまうわけです。
来場者アンケート、
周辺の状況をマーケティングをしたところ、
「営業施設をもっと充実して欲しい。」
「入場時間や開催時間についての検討をして欲しい。」など
さまざまな声がありました。
その中で、我々ができることをご提案して、
スタートしようとしています。
■東山動植物園活性化に向けた事業展開
今回の事業については、
代表企業は私共になっていますが、
7つの会社でチームを組ませていただきました。
今回の東山については
多様な動植物がひとつのパレットの上にある
というイメージから、
「東山Palette(パレット)」というコンセプトで
展開をしようという提案をしています。
動物園側の施設計画としては、
コアラ舎の前に
スイーツを中心としたカジュアルレストランと、
東山オリジナルグッズの物販施設を
用意させていただく予定です。
ここで販売するもののほとんどが、
東山動植物園のオリジナル商品です。
植物園は非常に広い面積を持っています。
現在、積水ハウスのモデルハウスが
建っているところがあります。
これは東山動植物園が50周年を迎えたときに、
積水ハウスさんが、
いろんなものに使ってもらっていいですよ、
ということで建物を建て、
昨年、名古屋市に譲渡したのです。
そこではお花の教室とか、
植物園の中で行うべき催事のために使っています。
それを撤去して、新しく施設を造る計画です。
ただ、営業時間としては朝9時から夕方5時。
さらに駐車場も閉まる。
しかも動植物園の年間入場者数が220万人。
植物園がその20%の約40万人。
年間40万人でその営業時間では、
どう考えても立派なレストランの営業はできません。
ですから動植物園来園者のみをあてにする商売は
絶対にダメだと考えました。
動植物園来園者に頼らず独立採算できる、
ということを前提とした事業計画を作りました。
このレストランは、
結婚式も挙げられるレストランとして
事業計画を作っています。
また多目的に使用可能な施設も併設させ、
複合的な使用を可能にしています。
東山の調査をさせていただいた中で、
はっきりとわかっているのは、
東山動植物園には遠方からの団体バスが来ない
ということです。
その理由の一つとして、
バスというのは1台40人から50人、2台で約100人。
それほどの人数の人たちが
一度に食事をするところがないのです。
現在、園内施設の東山タワーの高所に
レストランはありますが、
エレベーターが小さすぎて
一気に乗客を上げることができません。
そういうことも含めて、
100人以上同時に受け入れることができるようにしたことで、
バス会社からいくつもお問い合わせをいただけるように
なりました。
結婚式は、平日が少なく土日祝日に集中しますので、
これで平日対策の一つができつつあります。
また結婚式は植物園との相性が良い、
ということも含めて提案をしています。
結婚式というのは、式の時だけではなく
事前に花嫁さんがいろんな衣装を着て写真撮影をされます。
そう考えると東山動植物園というのは、
お花畑や竹林があったり、合掌造りの家があったり
様々な環境があるわけです。
またこの大きさの規模であれば
一年間で多くの結婚式を挙げることができます。
植物園の丘の上の方に、桜の回廊ゾーンを作っています。
今、桜の木が1300本くらい植わっています。
もし一年間で100組結婚式を挙げられ、
そのカップルが植樹をしたとすると年間100本。
10年間で、1000本の木を植えることになるわけです。
その植えた木というのは
我々を含めて、施設の方が水やりをしたりするのですが、
結婚式をしたカップルが時々、水をやりに来るとか、
子供が生まれ、
その子供たちが大人になった時に恋人を連れて、
両親が植樹をした木を見に来る。
あるいは、
自分たちがお年寄りになり、
子供たちが結婚をしたときに家族で見に来る
といったことをしてもらえるようになれば、
という思いがあります。
音楽噴水なども計画しています。
ラスベガスにあるホテルでは、
音楽にあわせて噴水が踊るという素敵なショーがあり
名物となって、
たくさんの観光客がこのショーにあわせて集まってくるのです。
東山も、規模は小さいのですが、
そういう音楽噴水ショーをやろうと考えています。
夜間営業が可能になっていますので、
時間を決めて、施設の中でお食事を楽しみながら
観ることもできる、そんな計画です。
植物園エリアに合掌造りの家があります。
これは、30数年前に移築されたとても大きな建物です。
ここでは和のスイーツを中心として展開することを
考えています。
高山市さんとタイアップをしてやろうか
という話も出ています。
東山動植物園というのは、
この地域においてテレビ塔、名古屋城と並んで、
名古屋が誇る施設の1つです。
また植物園というのは、
若い人たちを中心とした施設ではなく、
これから高齢化社会に向かっていく人たちにとって、
心に安らぎを与える空間なのです。
そういうことを
公共と民間とで一緒に作ることができる仕組み作りが大事。
そのために今、注目されている
「PFI手法」を用いた民間と公共のありかたの提案を
していきたいと思っています。

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