開催日 平成21年11月19日(木)
会場 名古屋クレストンホテル9F宴会場
■■感謝される人になりたい。そんな人生を歩みたい■■
「感謝は実力を倍加する打ち出の小槌なり」
僕はこの言葉が大好きです。
人生もビジネスも絶対、根底に感謝を持っていなかったら
上手くいくことはありません。
資産を築けたとか、何かで成功したとか、そんな大きなことではなく、
人として成功している、人として素晴らしいと思える人たちには、
絶対、根底に感謝の気持ちがありました。
その感謝は、元を正すと親への感謝を持っている人たちばかりでした。
社員一人ひとりには、
人の心の痛みが分かる人間になって欲しいと言っています。
人の心の痛み・命の大切さが分からない人間に、
大切な人を失った遺族の気持ちを理解できないと考えています。
通夜・葬儀は、
故人様にたいしての感謝の気持ちを表すためのものでもあります。
両親がいたから、自分がいる、自分がいて子供がいる、
両親が無償の愛で包んでくれたから自分が成長してこれた
という事を再認識する場でもあるのです。
そして、この通夜・葬儀をどのように進めたいのか、
どのような形で個人様を送ってあげていのかを、
遺族の方たちと話し合い・提案してひとつの形にしていくことが
私たちティアの使命です。
この仕事との出会いは、僕が18歳のときでした。
31年前、ある人から当時で時給が1000円という
破格なアルバイトを紹介されたのです。
「世のため、人のためになる仕事」といわれ、
葬儀屋のバイトをすることになったのです。
ある日、葬儀の片づけが終わった後、
集金をする先輩について行きました。
するとご遺族の方が、その先輩に対して
「あなたにやってもらって本当に良かった。ありがとう」
と感謝しているわけです。
喪主の隣にいたおばあちゃんも
「私が死んだら、あんたを指名するから、あなたがお葬式やりに来てね」
と涙ながらにいっている。
自分の将来のことなど何もわからない時でしたが、
お金がもらえて、その上、向こうから頭をさげて下さって
「ありがとうございます」といってもらえる。
「こんな仕事があるんだ!」ということを感じたとき、
自分の中で何か衝撃のようなものが走りました。
この時、自分も葬儀の担当者になりたいと思った。
会社に帰ってすぐ、
「僕も通夜から葬儀、全部、仕切らせて下さい」
と店長にお願いしたのです。でも、ダメだと。
「十代の人間が務まるような仕事じゃない。社員にならないとできない」
といわれたのです。
僕は、間髪入れずに言いました。
「じゃあ社員にしてください!」
それから毎日、毎日、
店長の顔を見るたびにお願いをしました。
絶対にあきらめない僕に店長も根負けして
最後には店長が社長まで掛け合ってくれたのです。
やっと、社長面接までこぎつけました。
面接の場で
「なんでそんなにこの仕事がやりたいんだ?」と社長。
「藤田先輩について仕事をしてみて、これほど世のため
人のためになっている仕事はないと思ったんです。
僕も藤田先輩のように感謝されたいんです。
飾ったり、片付けたりする以上の仕事は
社員にならないとできないと店長に言われました。
だから社員にしてください」
それを聞いた社長は最後に「わかった」と。
これが葬儀ビジネスへの人生の始まりでした。
■■「ティア」を支える生き方教育■■
ノウハウ(know-how)」とは「やり方」のことです。
社員に教えないといけないのは、ノウハウではありません。
もっと大切なことは「ノウホワイ(know-why)」です。
なぜ、そのことをするのだということを教えることが大事なのです。
例えば、
「会館の掃除をしておけよ」というだけの上司はダメです。
なぜ、会館の掃除をしないといけないのかまで教えないといけない。
それをしないから
「今日は葬儀がないから会館の掃除はしなくてもいい」
という発想になってしまう。
「ノウホワイ(know-why」を教えて
はじめて、社員は「考えるようになる」のです。
ティアでは「仕事(しごと)」を「志事(しごと)」といいます。
この仕事をやるのが好きなんです。
目の前で悲しんでいる人たちのために尽くしたいんです。
亡くなった人を一所懸命、送りたいんです。
というくらい言えならなかったら、
やらされている感の中で仕事をやってしまう。
「仕えている」という気持ちじゃいけない。
今、やっていることが「志」となって
初めてお客さんに喜んでもらえるような仕事ができるのです。
こうなりたい、ああなりたいという先輩を見つけて、
その人が喜んでいる姿を目に焼きつけて、人に感謝され、
「ありがとう」といってもらえる人生を作り上げていく。
親に対する感謝を根底に持ち、
親が小さい頃から与えてくださったそのことに感謝を持ち生きていく。
ただ、順番からいけば、親の方が先に逝くわけです。
だから親に全てを返せるわけじゃない。
そこで、これから出会っていく人に返していく。
それが、我々にとっては目の前のご遺族なのです。
ご遺族に返すことで、親に返しているのと同じなのです。
誰かが命をつないできてくれたから、私たちはいる。
我々は天命として、この平成の時代に命をつなぐ一人として、
今、ここにいるわけです。
遺言とは、先に生きたものが、
その後の世代に、思いをきちんと伝えていくこと。
それは、資産、財産を残すことではなく、
親として、先に生きている人として、人間として
ちゃんと物事の理を伝えて生きていく。
次の代に影響を与えるような生き方する。
これが一番大事なことだと思うのです。
今の仕事をさせていただく中で、
僕にこのことを大きく気づかせてもらったのがこの30年間でした。
今度は、これを伝えていくことが、僕の天命。
若い人たちに、命の尊さ、先に生きている者のやるべき姿、
思いを伝え続けながら生きて参りたいと思っています。