2011年4月例会 講演レポート

■■ 4月例会 講演レポート
■■   テーマ  「フェアトレードで未来が変わる! 
■■             -人にも地球にも優しい社会-」
■■■  講師  タレント
■■■■     エシカル・コーディネーター
■■■■■       「エシカル・ペネロープ株式会社」     
■■■■■■   代表取締役  原田さとみ氏
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■       
 
                開催日 平成23年4月19日(火) 
     会場  札幌かに本家・栄中央店
 
■■人にも地球にも優しい社会をつくる■■
「フェアトレード」
ちょっと聞きなれない言葉だと思いますが、
「公正貿易」ということです。
もともと貿易というのは、
海のもの、山のもの、異国のもの、お互いにないものを
融通しあって、それがお互いの幸せのためであった。
ところが、
強い人がどんどん強くなって、
弱い人がどんどん搾取されるようになって、
不平等が生まれてきた。
これが今の先進国と途上国の形です。
それを何とかしようというムーブメントが
「フェアトレード」です。
エチオピアは牧歌的な風景で、
のどかな想像をするかと思いますが、
国土の2%にまで自然林が減ってしまっています。
森がないのです。
これは先進国が開拓したわけではありません。
エチオピアは人が多い。
貧困な中、食べていくために、
田畑を作るために木を切ったのです。
そこで何とかしなければいけないということで
動き出したのがJICAです。
森を残すにはどうしたらいいかということを
地元の人たちと考えるメンバーを派遣し、
食べていくために木を切ってきた人たちに、
どうして木を切ってはいけないかということろから話をした。
木を切り森がなくなると、雨が地中に貯まらなくなって、
土砂崩れがおき、川が乱れ、土が枯れ、
農作物が育たなくなります。
そして、
森を守ることで自分たちの暮らしが向上すると理解し、
納得するために、その森にもともと自生していた
コーヒー豆の栽培に着眼したのです。
彼らが生きていくために必要なものを見つけて
持続可能な収入の方法を見つけてあげることが、
森を守ることに繋がりました。
森林の中で、農薬や化学肥料なしで育つコーヒー豆には
フェアトレード認定を得て、
プレミアム価格での取引ができるようになり、
彼らはコーヒー豆を作ることに誇りを持ちました。
さらには、女性にお仕事も創出しました。
森で取れたコーヒー豆を生豆でそのまま出荷するだけでなく、
女性たちによって手焙煎したオリジナルコーヒー豆として
日本へ出荷もしています。
男性が働いてお金が入っても、彼らは、
「子供たちは学校なんかにはいかなくてもいい。働けばいい」
という話になってしまうのですが、
女性たちは子供を学校に行かせてあげることにお金を使います。
女の子も、男の子も平等に学校に行かせてあげたい
という思いでお金が使われるので、国の発展につながるのです。
エチオピアとルワンダと2つの国に行きましたが、
2つの国のあり方、考え方は大きく違っています。
例えば、
茅葺きの屋根では雨漏れがひどいということで、
海外の支援者たちがエチオピアで、
トタンの屋根に替えたそうです。
村の人たちはとても喜んでいたそうですが、
私は支援のあり方として、疑問を感じました。
なぜなら、
トタンの屋根を先進国の人間が現地の人々に与えるのは
てっとり早く簡単かもしれない。
でも、村の人たちが今後、どこかで買ってこようと思っても、
それは難しいわけです。
自分たちで作ろうと思っても作れない。
たしかに、
そこにいる人たちにとっては、
生活の場所が不衛生なところで子供たちが病気になっていく。
それを一刻も早く抑えるにはトタンが必要だったわけです。
ただ、そのトタンを1回味わってしまうと、
元に戻れないじゃないかという恐怖が私たちの中にあるのです。
できるだけ自国で産出している素材を使って、
いつでも自分たちで作れるもので、
自分たちで作れるようにサポートをできないものかと思いました。
自国の文化に誇りを持たせてあげて、
その国の誇るべき伝統を守りながら発展してほしいと思います。
茅葺の屋根を残すように修繕するお手伝いをすることの方が
手間はかかるけれど、大事な支援なのではないかなと感じました。
そういうエチオピアでの不安を抱えながら
ルワンダに行ったのですが、
ルワンダでは、土で作った屋根ばっかりだったのです。
現地の人に聞くと、
「オレはトタンの屋根は嫌いだ」と言っていました。
なぜかというと、
壊れたときに自分たちで直せないというわけです。
「オレたちは、自分たちで直せる物、自分たちの国にある物でやりたい」
と言っていました。
この話を聞いて、これが支援のあり方の答えだと思いました。
私たち先進国がこれまでの経済の発展のために、
途上国に作ってしまった歪による不平等で、
貧困から彼らを苦しめてしまっている状況を何とかするために
行っている支援です。
これ以上誰をも犠牲にしないで、
持続可能な平和のためにできることを、
思いやりの心でサポートすべきだと思います。
フェアトレードを私たちが始めようと思ったきっかけは、
自分がおいしいチョコレートを食べている陰で、
苦しんでいる人がいたら・・・
と思うところから始まっています。
フェアトレードの精神が大事になってくる時代が
間近にきていると感じています。
フェアトレードタウンというのは、
イギリスのガースタングという小さな町が発祥です。
6月、熊本がアジアで一番目フェアトレードタウンになります。
イギリスのガースタングから始まって、ちょうど1000番目です。
名古屋でもフェアトレードタウンへの推進活動が
盛んになってきています。
日本でのフェアトレードの認知度はまだまだで、
17%といわれている中、なんと名古屋での認知度はすごい。
30%近いのです。
今、私たちは、いろんな企業の方、学生たちと一緒に
「フェアトレードタウン名古屋推進委員会」を結成し、
活動をしています。
そんな中、
名古屋の学生たちがフェアトレードマップを作るために、
どれくらい栄のお店がフェアトレードのものを扱っているのかを
一軒、一軒、訪問し、調べています。
すると、フェアトレードについてよく知っているお店もあれば、
そうでないお店もありますので
「フェアトレードってなんですか?」と聞かれることもある。
そのたびに、学生は、
フェアトレードとは、ということから話をするわけです。
そうすると、
「私も勉強します」といってくれるお店もある。
それがきっかけで、
フェアトレードの雑貨を取り扱ってくださるお店も増えたり
しています。
学生が一軒一軒回ることによって、町が変わってきました。
名古屋がアジアで2番目のフェアトレードタウンになるのも
近いと思います。
■■思いやりの精神「エシカル」■■
フェアトレードの精神は、
「エシカル」という言葉に表現できると思います
「エシカル」とは、
直訳すると「倫理的な」という意味ですが、
エシカルという概念は「思いやり」だと思っています。
私たちが何か物を買ったり、食べたりするときに、
私たちは幸せを感じる。
だけれども、
その物の背景に隠れている労働環境、貿易の環境、
自然環境など、誰かを傷つけてはいないかな
ということを常に考えるのがエシカルです。
ファッションはこれまで
、シーズンごとに次から次へと物をクリエイトして、
どんどん物を消費してきました。
フェアトレードとは対極にある世界でした。
これではいけないということで立ち上がったのが
エシカルファッションという分野です。
エシカルというのは、
フェアトレードよりも、もっと広く捉えていて、
ファッションであれば、オーガニックだったり、
リサイクルの素材を使っていたり、
伝統的な技術を大事にしているか、
児童労働をしていないか、搾取していないか、
生物多様性も大事にしているかということも考えています。
その上で、ファッションですので、
デザイン力、品質の高さが大事になってくる。
そんなエシカルファッションのお店を、
名古屋のテレビ塔で始めました。
また、「コップなごや水基金」という活動がありますが
これは国内フェアトレードであり、
エシカルな活動といえます。
自然の恵みはどこからかというと、山間部からです。
何一つ、都会では作れない。
だから山間部と都市部のつながりを大事にしないといけないな
ということで始めたのが「コップなごや水基金」です
「エシカル」というのは「倫理的な」ということよりも、
「いろんなことや、全ての命を大切にしよう。
 私たちは一人で生きているのではなくて、
 地球上の全ての命とつながって生きているんだよ」
ということなのです。
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