2009年1月例会

1月例会
●テーマ  「最強の地域をどう作るか」
●講師   中京大学経済学部教授 
       元・中部経済産業局長(「グレーター・ナゴヤ」を提唱する) 
       細川 昌彦 氏  
●プロフィール
1955年1月生
1977年3月 東京大学法学部卒業
1977年4月 通商産業省入省
1985年8月~1987年6月 山形県警本部警務部長 
2001年6月 スタンフォード大学客員研究員
2002年6月 ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了
2003年7月 中部経済産業局長 「グレーター・ナゴヤ」を提唱する
2004年8月 日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長 
2006年9月 (社)日本鉄鋼連盟 常務理事
2008年9月 中京大学経済学部教授
現在は教鞭をとる傍ら
講演活動や自治体・企業のアドバイザー、顧問も務める
著作として、
「メガ・リージョンの攻防」 東洋経済新報社、
「メガ・リージョンの視点で」 日経新聞 経済教室、他多数
http://m-hosokawa.com/wp_j/
●日時 平成21年1月14日(水)
18:00 受付
18:30 講演会
20:00 懇親会
※くれぐれも時間厳守でお願い致します
●会場 名古屋クレストンホテル9F宴会場
      TEL 052-264-8000
●会費 メンバー 無料
     ※メンバーの代理参加は1名まで無料
(代理は社員さんと御家族のみ)
      
◇◇ ビジター歓迎 ◇◇
皆様のお知り合いの方をご紹介下さい
会費 ビジター 8,000円
メンバーの家族、又は社員(1名まで) 5,000円


今、起こっている最大のポイントは、
今まで10億人のマーケットである先進国市場だったものが、
2000年になって新興国市場、30億人のマーケットが
一挙に先進国市場と一体になっているということです。
それは何を意味するのかというと、
1つは、中国やインドの安い労働力でいろんなものが作れてしまう
ということ。
2つめは、新興国の人たちがモノを作るだけでなく、
消費者でもあるということです。
この人たちの所得が伸びていくと、
新しい中流階級がものすごい勢いで増えていく。
それによって消費が爆発的に伸びる。
そうすると、資源、エネルギー、食料の需要がドンドン増える。
そうすると、当然、値段は騰がります。
ハイテクの製品の値段は下がり、原材料や食料の値段は騰がる。
これは一時的なことではなく、構造的なことなのです。
そうすると、
単純にモノを造っていると、労働力の安いところに負けてしまいます。
逆に、資源とか、エネルギーとか、食料とか、
ここに関わるビジネスが儲かるようになるのです。
今は、韓国、台湾、中国は一体的に1つのマーケットになっています。
これは、観光だけではなくショッピングもそうです。
つい最近まで、
東京はアジアのショッピングセンターといわれていました。
ただ、今は
円高になりましたので、急激に、マーケットがしぼみました。
今度は、逆に、日本から韓国へ行くようになりました。
為替が動くことで、顧客が行き来する。
マーケットは1つだということです。
こういうふうに見ると、
ショッピングの世界は、東アジアが1つになっているといえます。
住宅産業もそうです。
国内だけでは人口が減っていく、パイは小さくなっていく。
そこで、中国で省エネ住宅を安く工場生産する。
こういうことがドンドン起こっているわけです。
東アジアが内需という感覚のビジネスが増えてくると思います。
これが今、起こっている大局観です。
では、こういうことをベースに
地域というものを、どういうふうに考えるといいのか?
■■地域の競争力を高めていくために■■
私の著書のタイトル「メガリージョン」というのは、
大きな地域のことをいいます。
この地域では、人や企業を呼び込むことを必死にやっています。
私は5年前に「グレーター・ナゴヤ」というのを提唱させていただきました。
これはブランド名です。
外から人や企業を引っ張ってくるために、
この地域をどうやって外に売り出すかというマーケティングなのです。
そのマーケティングで、一番大事なのがブランド。
外から見て一番効果的な名前は何かというのがブランド戦略です。
それで「グレーター・ナゴヤ」とつけたのです。
次に大事なことは、ここにどういう意味を込めるか、
メッセージを込めるかです。
1997年、前ブレア首相がいいだしたのは「クールブリタニア」
それまではイギリスは斜陽国家の典型でした。
国のイメージを変えようということで、
国家ブランド戦略をはじめたわけです。
カッコいいイギリスを売り出そうとした。
先日見たイギリスの観光パンフレットには
「大人の女性に似合う国イギリス」と書いてありました。
単に言葉だけではなく、
空港や、主要な鉄道の駅にアートを展示することで
イメージを変える。
これは日本の地域にも参考になります。
決して地域ブランドというのは、特産品だけではありません。
「地域そのものが商品」という発想でやっていく。
このときに、大事なことは人材です。
フィンランドは国土の4分の1が北極圏です。
7割が森林に囲まれて、資源がない。
そんな国がなぜ、国際競争力が高いのか?
それは人材です。
フィンランドは、世界の教育のランキングでトップです。
この教育で人材力が高い。
これが競争力になっているのです。
フィンランドにNOKIAという会社があります。
携帯電話で世界の4割のシェアをもつハイテク企業です。
売上げの99%は海外。
国内では、ほんのわずか1%です。
ここの会社は、従業員6万人うち、なんと2万人が研究開発部門です。
こんな会社はありません。
これだけの人間を研究開発にまわすには、人材がいないといけない。
ただ、フィンランドには、それだけの人材がいる。
だから、NOKIAは99%外で売っているにも拘わらず、
フィンランドを離れないのです。
世界の製薬メーカー、トップ10のうち6社が
シンガポールに投資して工場を作っています。
なぜかというと、優秀な人材がいるからです。
人材がいれば、企業はそこに留まり、外から来るのです。
シンガポール国立大学には、
今、留学生がインドや中国からたくさん来ています。
今、シンガポールは留学生誘致20万人計画を作っています
日本は、人口1億3000万いて12万。
シンガポールは人口430万人です。
これだけの格差があります。
名古屋の大学も留学生がいます。
ただ、1つ1つの大学の活動では
優秀な留学生は獲得に限界があります。
私は、特に、内陸部が大事だと思っています。
手つかずの優秀な人材がたくさんいる。
この地域の方々に申し上げているのは、
上手く、産学連携しましょうということです。
産業界の力を活用させていただかないと、
大学だけでは優秀な人材の獲得に限界があります。
なぜなら、ネットワークがないからです。
例えば、
大学は地域の企業のネットワークを使わせていただいて、
中国の校長先生とつながりを持つ。
そこで優秀な人たちを獲得し、奨学金をつける。
留学して4年経つ。
そこで企業側は、インターンシップを引き受ける。
就職をさせる。
そうすると、こういう人たちは、
企業にとって中国ビジネスの戦力になるわけです。
これが産学連携の人材獲得戦略なのです。
今、国際会議の争奪戦が起こっています。
シンガポール、香港、上海、釜山・・・みな、そうやってきている。
特に2000年に入ってから、日本は競り負けているのです。
それに気づかないといけない。
国際会議を誘致するときのポイントは、
会議だけでなく、会議後に何が楽しめるかです。
そのためには、中核都市の魅力が大事。
そのためにはワクワクするような仕掛けも必要になってきます。
歓楽街だけでなく、美術館、コンサートホールにしろ、
「夜楽しめる」という感覚を持たないともったいないです。
例えば美術館は、
高尚な絵を鑑賞する敷居の高い場所ではなく、
エンターテイメントの場所だと思わないといけない。
人が集い、憩う、そういう場所にしないといけないのです。(中略)
これから地域の競争力を高めていくには
個々のプレーやが連携をとってつながっていく、
いわゆる「つながり力」が大事になってくる。
自治体同士、地域と大学、大学同士、大学と産業界、
中小企業同士などなど。
それぞれがバラバラではいけないと思っています。
どうやって、これらがつながっていくかによって
力の大きさが変わってきます。
そうすればもっとも潜在力があるのが、ここ名古屋だと思います。

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