2007年5月 ホタルの世界

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■ 名古屋経営研究会通信 2007/5/31
■■ 5月例会 講演レポート
■■■ テーマ  「ホタルの世界」
■■■■ 講 師 株式会社ヒューマンデザイン生物生態研究所
■■■■■     所長 千葉 豊氏
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                開催日 平成19年5月16日(水)
                 会場  名古屋クレストンホテル9F宴会場
■■ゲンジボタルの生態■■
「ほっ、ほっ、ほーたるこい、あっちの水は苦いぞ、
 こっちの水は甘いぞ」という歌がありますが、
福岡県の山岡誠氏「全国ホタル研究会誌,(33):21-22」の研究で、
ゲンジボタルでは薄い糖液を飲ませることで、
約7日間長生きしたことが2000年に報告されています。
つまり、ホタルは甘い水が大好きだという結果がでています。
この歌の作詞者は、
ホタルは甘い水が大好きなことを知っていたのでしょうか。
ホタルの飛翔時期、野に咲く花は少なく、
クローバーの花などの草花にとまって、甘い溶液を吸っているようです。
そして、その後の研究も進み、
ヨモギやモミジの葉液も好きだということもわかりました。
□ホタルの種類□
ホタルの種類の中では、
ゲンジホタルが体長18-20mmと一番大きく、
光も強く日本の代表的なホタルと言えます。
餌はカワニナやマルタニシ、時にはマシジミも食べます。
メスは幼虫のころから卵を持っています。
お腹の中の臓器は少なく、ほとんどが卵です。
そして、メスはオスより大きいです。
産卵した卵は、暖かければ30日くらい、寒ければ40日くらいで
ふ化します。
その目安は、(一日の平均気温×日数=)積算温度600度くらいで
ふ化します。
ヘイケボタルは、体長10-12mmと小さく、
モノアラガイやマルタニシなどを食べています。
比較的流れが少なく、水温が幾分高い水田や湿地に発生し、
その飛翔時期はゲンジボタル比べ遅いようです。
伊吹山の頂上に発生するホタルは、水生ではなく陸生のホタルです。
分類的には、ヒメボタルの大型タイプで、2-3年の幼虫時期を経て
成虫になります。
餌は、オカチョウガイやマイマイなどを食べて成長します。
特徴は目が大きく、発光はオレンジがかったフラッシュ光です。
そして、メスには内羽根がなく、飛ぶことは出来ません。
詳しい生態は解明されておらず、これからの発見が期待されます。
□ホタルはどんなところに住んでいるのか?□
昔ですと、集落を流れる山水で、茶碗や野菜を洗い生活をしていました。
当然、野菜くずや食べ残しが流れます。
この野菜くずや食べ残しが、カワニナの大切な食料なのです。
そこで、人里でカワニナが増え、
カワニナを餌とするホタルが増えるというわけです。
つまり、ホタルと人々の生活と深く関わり、成り立っていたのです。
しかし、その水が汚れ過ぎると、その関係は成り立ちません。
□ホタルはなぜ光るのですか?□
ホタルが光るのは、交尾のための合図です。
オスは点滅しながらメスに近づき、その点滅周期が合ったところで
カップルになります。
しかし、その競争率は高く、メス1匹に対しオスが5匹。
メスにすべての選択権があり、
メスは大きくて光の強いオスを選びます。
オスにとっては、
わが子孫を残すための熾烈な戦いなのです。
われわれが観賞している、あの美しい舞いは、
実は、子孫を残せなかった「あぶれオス」のむなしい舞いに
見えてきます。
そんなことをお話しすると
「あなたの話は、聞かない方がよかった」
と何度も言われたことがあります。
□ホタルの光るしくみ□
ルシフェリンという物質とルシフェラーゼという酵素が
酸素との二重反応で光るのです。
この原理は、海難救助用の夜間発光の救命具として使われて
います。
また、
発光体として、化粧品やカメラメーカー等の商品開発の研究に
応用されております。
■■ホタル再生にかける期待と効果■■
□心理的効果□
ホタルの光の明滅には、癒し(1/fゆらぎ)効果という説があります。
これは、
光が減衰する角度と上昇する角度、
その同じ角度を周期的に繰り返すことで、
人間は心地よくなると言われています。
そよ風や川のせせらぎ、
クラッシク音楽(モーツアルト)などに見られる変動現象をいいます。
その中の代表的なのがゲンジホタルの光があります。
□子供たちへの教育□
ホタルが放つ美しい光と、ホタルの成長過程で見られる、
どう猛で逞しい様子、この両面を子供たちに観察させること。
つまり、
綺麗なところばかり見ず、「喰う、喰われる」の関係の両面を
見据えることが出来る子供に…、そんな事実を学習させたい。
特に昨今の事件を見、強く思うのであります。
理科の総合学習の場で、
ホタルの幼虫を河川へ放流する行事が行われます。
その際も、幼虫をできるだけ直接手で触るように言います。
決していい感触とは言えませんが、
ゲジゲジみたいな幼虫もまた、ホタルの別の姿であることを
見て欲しいと思うのです。
子供たちはいつも親から「ホタルを捕ってはいけません」
と言われています。
でも我々は
「ホタルは捕まえていいよ。でもつぶさないで放してあげてね」
と言います。
しかし、
ホタル祭りが終わると、数が減ってしまいますが、
それも大切な体験学習なのです。
子供たちにとって、ホタルが自分の両手の中で光るというのは、
自分だけの最高の世界です。
これが、
「子供たちの原体験になってくれれば」と願うところであります。
■■共存の姿勢■■
真の共存という言葉があります。
戦後、経済発展を最優先させ、
その結果、豊かな生活を我々は獲得してきました。
その反面、自然を大きく破壊し続けてきました。
今、我々は自らの姿勢を改め、
共に生きる生物たちに、もっと繊細なつきあい方をしないといけない
と思っています。
生物界の頂点に君臨するわれわれが、
自分より弱い「絶滅していく生物」に対して、
もっと繊細な心配りを持って接し、保護していく基本姿勢が必要です。
生物界は、一つの環の中でつながっています。
身近な小さな環が、それより少し大きい環につながり、
それがまた、少し大きな輪につながっています。
その連続した環の関係は、
植物プランクトン→動物プランクトン→小魚、稚魚→鳥類、肉食動物へと
食物連鎖の環となっています。
その連鎖は、まさに命の奪い合いです。
その食物連鎖の環を断ち切らないこと。
つまり、
一部の種が絶滅、減少することは、
その連鎖を断ち切り、そこに連鎖の空白をつくり、
その空白に一部の生物が異常発生するという結果を招きます。
まさに、外来種の繁殖はその間隙をつかれたに過ぎません。
もし、
食物連鎖の環がきめ細かく隙間がなければ、
一部の種の異常発生はせず、
限られた条件下での発生にとどまるはずです。
この食物連鎖の環を断ち切ることは、
種の空白を生み、
そこから、一部の種の異常発生を生み、
直接的、間接的地球上のバランスを崩すことになり、
食料危機等の原因となります。
われわれ人間もまた、
「その循環の中に生かされている」ことを忘れてはなりません。

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